遺言について

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遺言とは?

遺言とは、自分の死後に、自分の財産について「誰に、何を、どれくらい」相続させるのかを示した意思表示のことです。この意思表示を書面にしたものが遺言書です。

遺言によって、それぞれの相続人がすべき相続の内容を定めることはもちろん、相続人でない方に財産を残すこと(遺贈)も可能です。

遺言によって定められること

遺言によって定めることができる事項(=遺言事項)は、法律によって決められています。

そのほかの事項を記載することは差し支えありませんが、法的な効力はありません。
したがって、それらの事項が実現されるか否かは、相続人の判断に委ねられることになります。

なお、遺言では、財産の分け方のほか、下記のような事項について定めることができます。

主な遺言事項

  • 相続分の指定
    • 法定相続分とは異なる割合を指定することができます
  • 遺産分割の方法の指定
  • 遺贈
    • 法定相続人でない方に財産を渡すことができます
  • 一定期間の遺産分割の禁止
  • 相続人の廃除
    • 一定の場合に、相続人の相続権を奪うことができます
  • 婚外子の認知

遺言書を作成すべき方

特に遺言を作成した方が良い方は、次のような方です。

  • 子供がいない方
  • 相続人がいない方
  • 相続人の人数が多い方
  • 内縁の妻(夫)がいる方
  • 音信不通の子供がいる方
  • 先妻(先夫)との間に子供のある方
  • 公益法人などに寄付をしたい方
  • 相続人以外の者に財産を渡したい方
  • 相続人の間で争いになると思われる方

相続の発生時

遺言書の効力

通常は、それぞれの相続人が相続する財産の配分は、法定相続分によって決まります。
しかし、遺言書の中で法定相続分と異なる割合が定められている場合は、原則としてそちらが優先されます。

もしも遺産分割が終わった後に遺言書が見つかったときは、遺産分割をやり直さなければならないことがあります。そのため、遺産分割協議の前に、遺言書の有無を十分に確認する必要があります。

遺言書の探し方

公正証書遺言公正証書遺言は、公証役場にて「遺言検索システム」による遺言検索の申出をすることで、その有無を確かめることができます。この遺言検索の申出には、所定の必要書類を揃える必要があります。

「遺言検索システム」は、日本公証人連合会によって構築されているデータベースであり、全国の公証役場で作成された遺言にかかる公正証書の情報が管理されています。
また、公正証書遺言の場合は、遺言書の原本も公証役場に保管されています。
秘密証書遺言秘密証書遺言は、「遺言検索システム」によって遺言の有無を確かめられる点は、公正証書遺言と同様です。しかし、原本については遺言をされた方が保管しているものになりますので、保管場所を探す必要があります。
自筆証書遺言秘密証書遺言は、法務局における「遺言書保管制度」を利用されている場合は、所定の法務局において、「遺言書保管事実証明書」の交付の請求を行うことにより、保管の有無を確かめることができます。
この制度を利用していない場合は、遺言そのものを探すほかありません。
 
遺言書が保管されている場所として考えられるものは、次のような場所です。
自宅(机の引き出し、金庫、本棚、タンス、仏壇など)、公証役場、銀行の貸金庫
ほかにも、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に預けていることも考えられます。

遺言書を見つけたら

遺言書は、発見した場合でもすぐに開封してはいけません。遺言書は、家庭裁判所で行われる「検認」という手続きの中で開封する必要があるためです。

なお、原則としては遺言書が開封されても、ただちに無効になるわけではありません。ただし、判例上、一定の条件下において、開封されたことによって無効となってしまった事例がありますので、絶対に開封されないようにしてください。

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